Leopold Aschenbrenner氏のヘッジファンドSituational Awarenessは、ここ数週間でかろうじて破綻を免れた。債権者からの追い証請求を受けてポジションの解消が進み、月間で67%の下落となったためだ。最終的に、保有する上場株式ポートフォリオはCitadelに割安な価格で売却された。その直後、同社が非公開企業への投資案件に4億ドルの資本を投じたと報じられた。
これらの非公開企業への投資ポジションは、ファンドに残る運用資産の大半を占めている。ただし、情報の透明性が相対的に低いため、具体的な投資先企業や構成は分かっていない。しかし今回の4億ドルの投資先は、金曜日にBloombergとWall Street Journalが報じたことで明らかになった。サンフランシスコのスタートアップ、Source Foundryだ。
Source Foundryは、2人のスタンフォード大学研究者によって2025年に設立された。同社は、先端チップ製造に必要なリソグラフィー装置の開発・運用を目指している。これは、主にAIインフラ関連に投資してきたSituational Awarenessの既存の投資仮説と大筋で一致する。
ただし、これまでのAnthropicやMatXなどへの投資は、サービスプロバイダーやチップメーカーに重点を置いていた。Source Foundryへの投資は、AI業界が依存する基盤ツールを開発する企業へと、サプライチェーンをさかのぼる動きだ。SequoiaのパートナーであるStephanie Zhan氏は、Source Foundryが「最も厳しいボトルネック、つまり半導体製造向けの装置」に取り組んでいると述べた。
今回の4億ドルの資金注入により、Source Foundryへのファンドの総投資額は5億ドルになったとみられる。直近の資金調達ラウンドに基づく同社の評価額は総額50億ドルだ。
Source FoundryはASMLにどう挑むのか
オランダ企業のASMLは、先端的な極端紫外線(EUV)リソグラフィー市場をリードしている。これは、装置が光を使って未加工のシリコンウエハーに回路を転写する工程だ。同社の最先端High-NA EUV装置は、1台で4億ドルを超えることもある。ASMLの2025年の業績では、純売上高327億ユーロ、純利益96億ユーロを計上し、2026年の売上高は390億ユーロに達する可能性があるとの見通しを示した。
Source Foundryは、ASMLの支配的な地位に挑むことを明確に目指している。
この使命に取り組む企業は同社だけではない。シリコンバレーの同業スタートアップSubstrateは、昨年リソグラフィー装置向けに1億ドルを調達し、2028年までに自社の量産施設を稼働させることを目指している。一方、ハードウェア企業のxLightは、CHIPS法に基づき米政府から1億5000万ドルを調達し、小型化した粒子加速器をベースとする光源を使った新たなリソグラフィー装置を研究している。
Source Foundryの量産能力の確立には、なお数年かかる可能性が高い
実用的なリソグラフィー生産ラインの構築には、極めて高い技術的・資本的な障壁があるため、通常は数年かかる。この分野のスタートアップは、商業生産能力に到達する前に、既存の競合企業に吸収されることも多い。Source Foundryは設立からまだ1年しかたっておらず、2025年7月にカリフォルニア州で法人化された。それ以来、同社はステルス状態で事業を進めており、生産能力や本格的な量産体制を確立するまでの時期についてはほとんど分かっていない。
Situational Awarenessにとって、これは現時点で稼働する製品を持たない企業への大規模な賭けを意味する。今回の投資のタイミングは、Situational Awarenessの経営が破綻寸前に陥ったことが、Aschenbrenner氏の中核的な投資仮説をほとんど揺るがしていないことを示唆している。その仮説とは、AIインフラにおける主要なボトルネックに大規模な投資を行えば、業界の成長に伴って並外れたリターンが得られるというものだ。
ただし、現在のファンドは、レバレッジを大きくかけた公開市場への投資から離れつつある。Aschenbrenner氏自身も投資家に対し、7月の破綻寸前の事態を招いたプライムブローカーからの借り入れモデルは利用しないと約束した。
